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9月, 2017の投稿を表示しています

銅鏡の基礎①「どこが鏡?」

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 銅鏡に関する基礎的なお話をするシリーズです。  先ほども電話でのご質問で、「銅鏡はどこで顔を映すの?」というのがありました。  展示室でも、来館者から 「真ん中の半球形の部分で映す説」 「鏡ではなく、鏡箱のふた説」 「水をはって水鏡にする説」 などなど、様々な説が出ています。  実際はといいますと、銅鏡には裏表があり、写真や展示でよく見かけるのは鏡の裏側になります。 裏面、背面、鏡背面などと呼ばれています。 (逆に表側は、表面、鏡面などと呼ばれています。) 鏡(図録108 異体字銘帯鏡)の鏡面 現在、表側を向けて展示中(9/7~12/19) 当時はもっと輝いていたが、今は曇っている。   同じ鏡の鏡背面(裏面)   「な~んだ」と思われるかも知れませんが、現代の鏡の多くは壁にかけられており、「裏側」という発想がなく、気づきにくいのかも知れません。  「じゃあ、なぜ展示室では裏側ばかり見せているの?」と思われるかもしれませんが、表面にすると、どれもツルツルの同じようになってしまうからです。鏡の特徴をわかるようにするには裏向きにして展示せざるを得ないのです。  当館では復元鏡を制作し、手にとって鏡の裏表を見ていただけますし、重さも感じていただけます。 一度、復元された銅鏡に顔を映してみてはいかがでしょうか。

五獣紋鏡

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 この秋から新しく展示している鏡(図録75)を紹介します。  名前は五匹の獣がいることから、五獣紋鏡(あるいは五蜼紋鏡。「蜼(イ)」は猿の一種)と呼ばれています。径14.2cm、重さ186g。秦~前漢のころと考えられています。  この鏡の特徴は周縁がなめらかなカーブを描いて立ち上がっていること。このように匕(さじ=スプーン)状に凹んだ面を「匕面(ひめん・さじめん)」、そして匕面をした縁を「匕縁(ひえん・さじえん)」と呼んでいます。   鏡の平面図(黄色の部分が匕面となる) 鏡の縁部分の断面図  こうした匕縁をもつ鏡は戦国時代の銅鏡の大多数に認められ、前漢はじめまで続きます。  特に最外縁の上部の尖った部分は、古い時期には面をもち、次第にその幅が狭くなり、やがては尖るように変化することが知られています。本鏡は鋭く尖っているので、比較的新しい時代、戦国時代末以降の特徴をもっていることになります。  厚さも非常に薄く、1~2mm前後しかありません。手にすると驚くほど軽く、よくこんなにも薄く仕上げられたものだと、技術力の高さに感心し、割れないかとドキドキしてしまいます。  さて、主紋様である五匹の獣。長く巻いたしっぽが特徴的でオナガザルのようにも見えますが、顔は狐で耳はネズミのよう。そしておもしろいのがそのポーズ。  左前脚を外側の円帯につけ、右前脚で前方にいる獣のしっぽをつかみ、左後脚を大きく後方へ振り上げ、右後脚で内側の円を踏みしめています。まるで天地を支え、しっぽをつかみながら、ぐるぐる回っているようです。  このようなデザインの鏡は他にも見つかっています。それらは獣の形態や,、頭数が3~5匹になるなどのバリエーションがあるものの、ポーズはよく似ています。天と地を支え、しっぽをつかむことには、単に愛嬌があるだけではない何らかの深い意味があるのでしょう。 東京国立博物館所蔵鏡 (画像番号:C005994) (列品番号:TJ-631) ( http://webarchives.tnm.jp/ )   獣の背景にある細かな紋様(地紋:じもん)は、羽状の紋様とその隙間にある小珠紋(ちいさい点々)からなっており、他の青銅製品にも共通する紋様です。龍の一種である螭(ち)が退化した

鏡子の鏡通信⑨「ダンスユニット ~ファイブ モンキーズ~ のデビュー!」

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最近、朝晩が涼しい、というよりは寒くなってきたなぁと思っていたら・・ 9月も終わろうとしているではありませんか!!! ほんと、月日が経つのは早いですね。 展示替えをしたのが昨日のような気がするのに・・ 展示替えによって初お目見えした鏡の中に、かわいらしい紋様の鏡があります。 もちろん、私的に・・ですけど (^^; それは、「五獣紋鏡」という鏡です。   見て下さい!!このかわいらしさ!! どう見ても、オナガザルが輪になって踊っているようにしか見えません!! オナガザル?どこが? はい、そうですね。私的には、と言いましたよね? サル好きにはそう見えるのです ( 笑 ) 片足でバランスをとりながら、 片手でなぜか、隣のコのしっぽを掴み、そして踊っているような・・ 私には、そんな感じに見えます (#^.^#)     もしかしたら、手と手をつなぐみたいに、手としっぽをつないでいるのかなぁ・・ そう思ったら、ますますかわいくなってきちゃう (^^ ♪ 今、イチオシの鏡です! そうそう、他の鏡にもいろいろな生き物たちがいますよ。 きっと真夜中になると、いろいろなところから賑やかな声が聞こえてくる・・のかもしれま せんね。 いつか、その声が聞こえてくるのかなぁ ( 笑 )

展示替え

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9月7日(木)から、企画展2「三彩の俑たち 唐王朝のたたずまい」がはじまりました。 鏡とは違う立体的な展示物なので、物理的な迫力があります。 これまでにお子さんが二人、天王俑を見るなり「怖い」と逃げ出してしまいました。 (怖い顔をしてるのはお墓を守るため) (よい子には優しいからご安心を) 三彩とはいっても、お顔には釉をかけず、彩色することで表情を豊かに表現しています。 俑を展示するにあたり、これまで展示していた宝飾鏡を片付けてしまいました。 でも、全部を収蔵庫に入れてしまうのももったいないので、定評的な宝飾鏡だけはコレクション展示コーナーに残すことにしました。 金粒やメノウ、トルコ石、水晶で飾られた象嵌鏡や、ヤコウガイで飾られた螺鈿(らでん)鏡、金銀の板を切り絵のように切り抜いて貼り付けた平脱(へいだつ)鏡などの宝飾鏡の一部は引き続きご覧いただけます。 しかも、見やすい鏡用のケースに移動しましたので、詳細に観察できます。 精緻な金粒細工など技巧の極致をぜひご鑑賞下さい。 ほかにも、新しい鏡を追加しています。 個別の見所は追々追加しますので、お楽しみに。 ・孔雀石象嵌透彫鏡(戦国時代:紀元前4世紀。図録22)    戦国時代を代表する二枚重ねの透彫鏡。 ・五獣紋鏡(秦・前漢:紀元前3~2世紀。図録75)    内側の円と外側の円を支えるように、5体の獣が手足を伸ばして踏ん張っている。 ・螭(ち)龍紋鏡(前漢:紀元前2世紀。図録89)    紋様を描く際に引かれた設計線がよく観察できる。 ・金銀ガラス象嵌雲気紋鏡(前漢:紀元前1世紀。図録112)    中心のガラス細工にも注目。 ・双犀紋八花鏡(唐:8世紀。図録257)    犀(サイ)のイメージが描かれている。本物のサイとどこかが違う? ・蓮上双天馬紋八花鏡(唐:8世紀。図録263)    翼をもつ天馬が吉祥世界を表す紋様の一つとなっている。

鏡子の鏡通信⑧「展示替え」

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9 月になりました! もう、半ばですが・・ ( ・ _ ・ ;) 企画展示ケースの展示替えも終了し、新たな気持ちで過ごす日々は、 アヒルに癒され、 イモリと対面し、 ウキウキわくわくしながら エビとたわむれ、そして、 お気に入りの動物たちが展示室で私を待っている・・・ そんな感じです ( 笑 ) どんな感じなん・・って声が聞こえてきそうだけど、 気を取り直して・・ 9 月 7 日 ( 木 ) から、開館記念展第2 弾 「三彩の俑(よう)たち 唐王朝のたたずまい」 が始まりました! 三彩って確か、教科書で見たような気が・・というそこのあなた! 俑って何?って思ったあなた!   そうです、あなたです。 昔の人も言ってますよね? 「百聞は一見に如かず」と。 ぜひとも、古代鏡展示館へお越しください! 職員と共に4体の 俑たち(馬、ラクダを含む)が、あなたをお待ちしております (#^.^#)